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「とりあえず、座ってろ。今迎え呼ぶから…」




そう言うと和也くんは、物置を閉めて、そこにわたしの背中を預けた。


されるがままに深呼吸を繰り返すわたしに、「ちょっと待ってろ」って言葉を残して、小走りでどこかへ行ってしまった。


追いかける元気のない自分が情けなくて、せっかく和也くんと二人きりなのに、こんなこと学校じゃ有り得ないし、優しかった。



チームの中にいる和也くんは、心を開いているせいか、普段学校で見せる近寄るなオーラを半分くらい消している気がする。


わたしにだって、話しかけてくれて…


そっと目を閉じると聞こえてくる足音。




「飲めよ」




そう言われて、頬にピタっと冷たい感触。

目を開けたわたしに、ポカリを差し出している和也くん。





「あの…」


「気分悪りぃんだろ? 飲めそうなら飲んどけ」


「お金…」


「いらねぇよ!」


「でも…」


「煩せぇな、黙って飲んどけ」


「…優しいんですね」





そう言ったわたしの問いかけには、答えてくれなかった。

でも、蓋を開けてくれた和也くんの瞳は、やっぱりいつもより優しくて、わたしはポカリを一口だけ飲んで、意識を手放した。







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