■ K



「はい、勿論っす」



わたしが何も言えずにいると、隣のツヨシがそう答えて、その質問はツヨシ宛のものだったんだと、理解した。




「それと、自分の女も、命かけて守れよ」




ゆきみと同じ言葉だった。

ここのチームは男が女を守るのが絶対なんだと。


拓真の言葉に「はい」って大きめに答えるツヨシ。




「あー後最近また他のチームが暴れてるみてぇだから走りも女乗せるなら気をつけろよ」




拓真に付け足すように言ったのは、総長友樹で、奈々の隣に座って、その手を奈々の肩にしっかり回している。


だからゆきみは立ち上がって、拓真の隣に移動していて…




「ユカリ、わたしに似てる?」




とんでもない質問を拓真に飛ばした。

拓真はそんなゆきみの腰に腕を回して引き寄せて「髪型な」って言ってチュってキスをした。

こんなに沢山人がいるのに、全く気にしていないのか、恥ずかしがっているゆきみとは大違い、拓真は尚もキスを迫る。



ハッとした。

少し後ろで和也くんがあえて二人を見ないように顔を背けていた。


その切なさを含んだ悲しそうな表情に、わたしは胸が痛くてたまらない。



もしかしたら、ゆきみも和也くんを好きなんじゃないんだろうか?なんて思っていなかったわけじゃない。


拓真がいようが、和也くんにだってしっかりと愛情を注いでるゆきみだから、もしかしたらもしかするのかもしれない…―――




そんなの、思い上がり。


拓真にしろ、友樹にしろ、こんなに優しい顔は想像もできなくて、その想いの先にいるoneの女たちが、こんなにもみんなに愛されているなんて、初めて知った。


そして、やっぱり和也くんの想いがゆきみに届くことは、絶対にないんだと…―――


そんなことを考えていたせいか、友樹の忠告の意味を身をもって体験するはめになるなんて、思いもよらないんだ…。






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