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「分かってると思うけど、俺はゆきみ以外興味ねぇ…」




ドクンと心臓が脈打ったんだ。



告白もしていないのに、まんまとフラれたわたし。


自分の口から「好き」と伝えてもいないのに、「NO」の言葉をくれる和也くん。



それは…――――




「メール!」


「お前ツヨシの女じゃねぇのか?」





…怖い。


和也くんはわたしの問題を調べる為に、メールを全部読んだんだ。


それでわたしの和也くんへの想いがバレちゃったって…


だから江美香に言われた時、動揺一つしなかったのかと思うと全部が納得いく。


助けてもらったことを棚にあげる気はないけれど…それだけは読まないで欲しかった。



わたしを見つめる和也くんは、ポケットから煙草を取り出しておもむろに吸い始めた。


ツヨシと同じ銘柄のその煙草。


きっと、ツヨシが和也くんに合わせたんだって、今なら分かる。


そして、和也くんが合わせたのは、きっと拓真。




「あの…」


「俺らを騙してたのかよ」




…不機嫌になった。


そりゃそうだよね。


ツヨシの女ですって挨拶したのに…


言い訳なんてできないって思った。


だから「ごめんなさい…」そう言って深く頭を下げた。






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