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視線の先の和也くんは驚くくらい優しい顔で、隣に座っているゆきみ達と喋っている。

ゆきみの隣には、奈々。

三人で盛り上がっていた。



あんなに自然に笑う和也くんなんて始めてで…

学校にいる時もそりゃあゆきみの前では笑うけど、愛おしそうに微笑むってゆうか…


あそこにある光景が、すごく自然な感じがして、やっぱりわたしは胸が痛くなった。




「ユカリ、大丈夫？帰りたかったら帰っていいんだよ？」




沙和がわたしの腕を掴んで耳元で小さく言った。

和也くん目当てで来たことが他の誰かにでもバレてしまったら大変だからって、誰にも聞こえないように、わたしだけに聞いてくれる。

沙和の優しさにほんの少し胸の痛みが和らいでいく気がした。




「大丈夫、うん大丈夫。何でもないから、気にしないで」



無理に笑ったつもりはないけれど、沙和からしたらそう見えたのかもしれない。

やり切れない…って顔で少しだけ微笑んだ。


そんなわたしを少し離れた所から見ていたツヨシくん。


ゆっくりとわたしに近付くと、グイって腕を引っ張られた。




「今から拓真さんに挨拶行くから、自分の名前しっかり言えよ？」




そう言われて、目が点になった。

だって、「拓真さんに挨拶行く」って言わなかった？


拓真さんって、この団体を取り仕切る二番手だよね？

要するに、和也くんが好きなゆきみの彼氏って奴。