■ C
「めちゃくちゃにしてやろうか、テメェのこと…簡単にできんぜ」
そう言うと、和也くんはパチンと指を鳴らす。
次の瞬間…―――
さっきまでどこかへ行っていたであろう10人の面子がいっせいにこっちに戻って来た。
ジリジリと江美香に向かって歩を進める。
「傷ついて立ち直れねぇくらい痛みつけてやろうか」
「やだ…やめて」
江美香が助けを求めてわたしに視線を移した。
目に涙を溜めて、首を振っている。
「和也くん、もう…」
「ユカリ…」
「えっ!?」
それはほんの一瞬…
触れるだけのこと…
でも、確実にわたしの唇に触れた、和也くんの唇…―――
次に聞こえたのは、舌打ち。
それは和也くんとは反対側、ツヨシからの音だった。
思考回路がショート寸前、わたしの脳内真っ白っけ。
かかかかかかかか、身体が震えて足がガクガクしちゃうわたしの耳元「落ち着け、バカ」って和也くんが囁いた。