■ B
「ユカリばっかりズルイ…。てゆーか、ユカリこそずっと和也くん和也くんって言ってたくせに、いつの間にツヨシくんと付き合ってんの!何か調子よくない?和也くんに相手にされないからって、ツヨシくんに乗り換えるのヤメテよ!」
完全にわたしに剥き出された敵意。
それ以前に、何てこと言うの、江美香!!
第三者によってバラされたわたしの気持ち。
よりによってこんな形で和也くんの耳に入ってしまうなんて、最悪。
でも、自業自得なんだと。
江美香をこうしたのは、他の誰でもないわたしなのだから…
「あの、和也くん…」
「いいから何も言うな!」
わざとなのか、わたしの小さな呟きに耳元に唇がつきそうなくらい近くそう言われて、結局わたしは何も言えずに俯いた。
「相手にされてねぇ…って思うのはテメェの勝手だけど、俺はこいつを気に入ってる…だからテメェのしたことが許せねぇんだ」
口端を上げてそう言う和也くんは少しだけ楽しそう。
わたしの肩にあった手を、髪にかけて、それを指でもて遊ぶみたいに弄っている。
まるでゆきみにするみたいに…
ゆきみの髪を弄るみたいにそうする和也くんに、半端なく胸が高鳴る。