■ G
「戻るぞ」
「え?」
不意に腕を掴まれて、わたしは和也くんに引っ張られて部屋を出た。
掴んだ腕を離すことなく和也くんがわたしを連れていく。
「後で話しがある」
「…はい」
「怒ってるわけじゃねぇ…」
「…はい。…あの」
「なんだよ」
「あの人達はいったい?」
「ああ、借りた。お前の為に10人動かしただけだ、気にすんな」
…気にするよ。
だってわたし、最初の暴走で赤札貰って、次の大きな暴走では謹慎までくらって…
そんなわたしなんかの為に10人なんて…
人を動かしただなんて…
ほおっておくんじゃなかったの?
もう、顔も見たくないんじゃなかったの?
分かりづらい和也くんの優しさに、やっぱり涙が止まらなかったんだ。