■ F
「女一人守れねぇのか、お前は」
「すいません…」
「だったらその色直せ!お前もだ、ユカリ」
「…え?」
「何で赤なんだ?」
「え、何…?」
「んで、わざわざゆきみさんと同じ色にすんっだ!?危ねぇだろっ!今までどんだけゆきみさんが狙われてきたか分かってんのかよっ!拓真さん呼ぶタメに、どんだけ危ない橋渡らせられたか分かってから染めろやっ!」
バンって和也くん、わたしの携帯を投げた。
「あ、ごめんなさいっ…本当に、ごめんなさいっ…」
ただ和也くんが好きってだけで同じ色に染めた髪。
それを後悔するわたしは、当たり前に和也くんの情報しか持っていなかった。
チームoneはこの界隈でも大きな暴走族で、そのトップにいる友樹の恋人、奈々。
セカンド拓真の恋人、ゆきみ。
その二人が今までどんなだったかなんて知りもしない。
拓真一人じゃ守りきれてないから和也くんがいるなんて、友樹だけじゃ手が回らないから大輔くんがいるなんて、そんな事情は知りもしない。
絶対に傷つかないように、どんな思いで守ってきたのか、知りもしない…
溢れ出す涙を止められなかった。