■ E
「初めてわたしが暴走に参加した後、それが噂になってたみたいで、地元の友達数人からメールがきたんです。でもわたしメールの返信しなくって…それをこの前偶然会った友達に言われて…」
「どいつ?」
「えっ?」
「その女の名前、どれ?」
わたしの携帯を操作する和也くん、差し出した電話帳をわたしに見せる。
「えっと、この子です、江美香…」
「俺と同じ学校っす、そいつ」
付け足すようなツヨシに、和也くんがチっと舌打ちをした。
そのまま鋭い視線をツヨシに移して…「テメェのせいじゃねぇのかよっ、ツヨシッ!!」
ガンって胸倉掴んで壁にツヨシを押し当てた。
そのまま腕を振り上げて…―――
「キャッ!」
わけも分からず殴られたツヨシ。
肩で大きく呼吸をしているツヨシに尚も拳を振り上げる和也くん。
「和也くんっ、やめてっ!!」
咄嗟に飛びついた。
和也くんの上がった腕に腕を回して、後ろからギュウって抱きついた。
その瞬間、和也くんの腕の力が弱まって、チってまた大きな舌打ち。