■ C
バババババババババババ…
聞こえてくるバイク音にドキっと心臓が跳ね上がった。
あれから一時間が過ぎた頃、ツヨシと二人で沙和とミツルくんのいる部屋に戻っていたわたし達に聞こえたその音に、振り返ったわたしは、こっちに向かってくる和也くんが視界に入る。
ドアを開けて部屋に通すわたしに、強い視線を送ってくるのは、和也くん。
「あの、わざわざすいません」
「別にいい。拓真さんに言ってある」
「そう、ですか…」
何て言えばいいのか分からなくて、俯くわたしにポンって和也くんの手が頭に乗っかった。
「心配すんな、助けてやる」
…花火大会の日以来の、和也くんとの会話。
あの時、髪を切られそうになったわたし。
本気で怒る和也くんを怖いと思った。
相手が誰であろうと、容赦がないんだと。
だからあんな大きなチームのトップグループに入っているんだと。
「携帯貸せ」
「はい」
素直に携帯を和也くんに渡すと、ピーって電源を入れた。
途端になるメール受信音にドキっとする。