■ B
「ミツルくんって、やっぱりかっこいいんだね」
「…ギャップ?」
「うん、沙和が好きになったの、ちょっとだけ分かった」
「あっそ」
フイってツヨシがわたしから顔を逸らした。
ちょっとだけムッとしたような声にニンマリしちゃう。
「でもわたしは、ツヨシが好き」
「………」
「ツヨシ大好き」
「………」
まるで自分に言い聞かせるかのように、わたしは何度も想いを伝える。
外に出たわたし達は、誰もいない岩場にもたれてしばらく星を眺めることにした。
「流れ星、見たいなぁ…」
「願い事でもすんの?」
「え、そりゃまぁ…」
「本当ガキだな、お前」
クシャってツヨシの手がまたわたしの頭を撫でた。
でもそのままフワっと抱き寄せられて、あっという間にツヨシの腕の中に抱きすくめられた。
途端にドキドキする心臓。
「ツヨシ…?」
「………」
「どうかした?」
「このままで…」
吐き出すみたいな声色に、胸がギュウっと締め付けられたような気分だった。
ツヨシがどんな気持ちだったのかとか、この時のわたしには分からなくて、自分がいかに人に甘えていたのかと。
境目が分からなかったの。