■ A
「誰もユカリのせいだなんて思ってねぇよ。ただ俺たちにはどうしてやることもできねぇんだ。…ユカリに何かあったらそれは俺たち守ってやる。けどこんな陰湿なやり方、ダメだろ!したら上に出て貰わねぇと、上の顔も潰すことになる。俺たちは、oneのメンバーだ。仲間を守るのは当たり前だろ!心配すんな、大丈夫だ」
…初めてミツルくんをかっこいいと思った。
いつも沙和やわたしをからかって下ネタばかり言っているイメージだったから、こうやってまともに話をするミツルくんのギャップは半端ない。
こんな風にされたら、沙和じゃなくてもドキっとする…
「大丈夫だ、和也さんはお前を見捨ててるわけじゃねぇんだ…」
「…―――え?」
「あいや…ほらお前等今謹慎中だろ!だからってほおっておくなんて人じゃねぇからって…」
何となく、ミツルくんが何かを誤魔化したような気がしないでもないけれど、わたしはあえて何も突っ込まなかった。
だってわたしはツヨシの彼女だから。
和也くんのことはもう…
「ほらツヨシ!お前等ちょっと散歩でもしてこいよ!俺そろそろ沙和と二人っきりになりてぇーんだけど!」
「…あ、ごめんっ!」
カアっと一気に顔が熱くなった。
忘れてたけど、本来ならわたし達、今日…―――
チラっとツヨシを見ると、やっぱりな赤い顔でスッと立ち上がった。
大きな手をわたしに差し出していて、釣られるようにわたしは立ち上がってツヨシの手を握った。
「一時間は帰ってこないでね〜」
ブンブン手を振るミツルくんの言葉に笑いながら手を振るわたし達。
扉が閉まる寸前、沙和の呆れたような顔が目に入った。