■ C
和也くんをあんな風に怒らせてしまったから、もしかしたら「自分で何とかしろ」って言われるかもしれない。
そう言われてもおかしくない。
それにわたしにはツヨシがいるし、和也くん達oneの人も、こんなたかが下っ端の為に動くなんて、あり得ない。
それでも、ミツルくんが自分たちの手に負えないと判断しての電話だったのかもしれなくて…。
そんな嘘みたいな事件にすら疎いわたしは、この状況がほんの少し夢というか、現実味を帯びていない気もしていた。
けれど、さっき鳴った着信を思うと、やっぱり身体が震えてしまうくらいに怖くて…
「ユカリは大丈夫か?」
携帯越しに聞こえた和也くんの言葉に、涙が出そうになった。
わたしの名前、呼んでくれたことなんて一度もなかったのに…
どうしよう、すごく嬉しい。
チラっとわたしを見たミツルくんは「ツヨシがついてるんで大丈夫っす」そう答えたんだ。