■ A
「へぇ〜、お前もうツヨシにヤられちゃったの?」
ミツルくんの悪ノリに、ツヨシの舌打ちが飛んだ。
でもそれは沙和もかなり気になっていたみたいで、ジッとわたし達を見つめてくる。
沙和には色々聞かれたものの、今だ何一つ言っていない。
恥ずかしいっていうのもあるし、ツヨシと二人だけの秘密にしたいっていうのもある。
「ミツルくんの頭の中って、それだけしかないの?」
「まぁ、基本的には。なんなら俺がユカリの処女貰ってやってもよか…―――冗談、冗談。俺のこいつ、沙和にだけしか反応しねぇのよ」
鬼の形相で沙和が仁王立ちで胸の前で腕を組んでミツルくんを睨んでいることに気づいたのか、慌てて変なフォローをしているけど、どうにも墓穴を掘ってる気もした。
そんな二人を置いたまま、ツヨシはわたしの手をとって、海へ向かって歩いていく。
人気の少ない岩場まで来ると、パサってパーカーをとってくれて、それを岩場にかけると、「入るか」ってツヨシが笑った。
「うん、あでも…」
「なんだよ?」
「うん…。わたし泳げない…」
「…ぶ。お前どんくせぇな! いいよ、オレに掴まってろよ、連れてってやる」
「…うん、ごめんね」
「どうせならこっから抱いてってやろうか?」