■ J
「…悪い、送る…」
「え」
「オレ余裕ねぇ。ユカリのこと、すっげぇ大事に思ってるし、大事にしたい。だから今日はダメだ、マジで理性もへったくれもねぇわ」
眉毛を下げて苦笑いをわたしに飛ばしたツヨシは、ちょっとだけ残念な気分のわたしを連れて、バイクで家まで送ってくれた。
ツヨシは、わたしに色んな感情を与えてくれる。
「やだ、一緒にいたい」
家の前で往生際悪く、わたしを離したツヨシの身体に巻き付いた。
帰せねぇ…って言ったのはツヨシなのに、すんなりわたしを送ったツヨシに腹を立てていなくもない。
…和也くんなら、一度口にした言葉には責任を持つ気がした。
「ユカリ…」
困ったようなツヨシの声にわたしは顔を埋めるようにツヨシの腰に腕を回す。
「オレマジで余裕ねぇよ」
知らない、そんなの。
「女にこんな気持ちになるのも、そうできるのも、ユカリが初めてだから。ずっと好きだったユカリ前にして、ユカリの気持ちより自分の感情優先にしちまう気がして…だから乱暴に無理やり扱っちまうかもしれねぇ…それが許せねぇ。めちゃくちゃ優しくしたいし、オレの気持ち全部、注ぎたいんだ…」