■ D
「一年前S高の文化祭、お前来てただろ?」
「…文化祭?え、うん。行ったよ?」
「オレも行ったの、文化祭」
思わぬ中学時代の思い出に、ツヨシが絡んでくるのかと思うと、それだけでテンションがあがっていく。
腰の手を離すツヨシに、わたしが追いかけるみたいに手を握った。
その手を指に絡めるツヨシはやっぱり顔を赤くしていて、不良なのに照れ屋なところがツヨシらしくて可愛いなんて、全然関係のないことを思ってしまいそうになる。
ニヤけそうな顔をキリっと引き締めて、背の高いツヨシを見つめ上げた。
「それは偶然だね」
「あぁ、偶然…けどオレは…運命だって思った」
ツヨシの口からそんな乙女なロマンな言葉が飛び出すなんて思ってもみないわたしは、口をポカンと開けてしまった。
ツヨシが何を言うのか、物凄いドキドキして、思わず自分の胸をギュって手で押さえた。
ドックンドックン激しく脈打っている心臓は、ツヨシの言葉をしっかりと待っていて…
「ツレが男に絡まれてた時に、お前一人で食ってかかってただろ?」