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「また連れてきてやるから…」
プラネタリウムの上映が終了してドームから出ると、ツヨシが恥ずかしそうにそう言った。
そんなに恥ずかしがっているのに、キスを止めなかったツヨシは、止められなかったのかもしれない。
何度も「やべぇ」を繰り返したツヨシは、時々我を忘れたように強引で、ハッと我に返って苦笑いを繰り返した。
ポケットに腕を突っ込んでいるツヨシの腕に自分の腕を絡めているわたし達の密着度は、ここに来た時とはうって変わっていた。
これが恋人の距離なんだと実感するだけで一人ニヤケてしまう。
「今日一日でキスが上手になったかも、わたし…」
イヒヒって笑うと、ツヨシが顔を背けて無視した。
その耳が真っ赤だから、照れているんだって。
そんなツヨシが可愛くて…―――
「ツヨシくん?」
不意に後ろから聞こえた声に振り返ったら、そこにいたのはわたしと同じ中学だった友達を含めた女子達だった。
「髪染めたの?吃驚した」
わたしを無視しているのか何なのか、そう言う彼女、江美香(えみか)はわたしとツヨシの絡んだ腕をジッと見つめてからスッと目を逸らした。