■ D
「だって初めてだもん…イヤなんじゃなくて、うまくできないから戸惑ってるだけ…。でもイヤじゃないし、もっとしたいって思う。気持ち悪いなんて思わないよ」
「お前…マジ可愛いな」
「うん」
「自画自賛かよ」
クシャってツヨシの手がわたしの髪を撫でた。
「海…泊まりで行かねぇ?」
「え?」
「来週の海、泊まりで行かねぇか?って…」
突然のツヨシの問いかけにほんの一瞬迷った。
その言葉のずっと先にあるであろう、その行為に…
本日キス初体験のわたしが、対応できるのかどうか?
「泊まりたいの?」
「…離したくねぇ」
照れたような声色に、頬が緩んだ。
まるでゆきみに対する和也くんのように、気持ちを直球で投げてくれたツヨシがすごくかっこよく見えた。
ドキってして、この人のこと、独り占めできるんだってそう思うと、途端に心拍数が上昇していく。
「うん、いいよ」
「マジで?」
「うん、わたしもツヨシと一緒にいれたら嬉しい」
その後は言葉じゃなかった。
勢いよくわたしを組み伏せるツヨシの熱くて激しくて…でも甘くて優しいキスを何度も何度も受け止めた…―――