■ B
「んふふふふ…くすぐったいっ…」
「…嫌じゃねぇ?」
「え?」
「オレにキスされて、嫌じゃねぇか?」
「うん」
「よかった…」
心底ホッとしたような臣の表情に、胸が締め付けられた。
そんな不安になることないのに。
「不安なの?」
「まぁ…」
「どうしたら不安とれる?」
「もう大丈夫だよ」
「本当に?」
「ホントに」
わたしの頬を撫でてチュって頬にキスをする。
離れた左手を臣の頬に添えたら、大きな目を緩く細めた。
「オレが忘れさせてやる、絶対ぇ…」
臣は今もわたしが直人くんを好きだと思っているんだって、その言葉を聞いて感じた。
それを否定できないわたしは、少なからず胸の奥に直人くんがいることを分かっている。
けれど、今こうして臣に抱きしめられてキスをしていることに、幸せだって感じる。
臣の言葉を信じて、ついていきたいんだ。
それがわたしの幸せだって、思いたい…―――