■ A
臣の手がわたしの手首から離れて、指に絡まった。
指と指を絡ませるだけで、気持ちが通じ合っている気がして、臣への想いが高ぶる。
唇が離れると目を開けて臣を見つめる。
真剣な瞳に見つめ返されて目眩がしそう…
何も言わずにまた近付く臣の唇に、そっと目を閉じる。
繰り返される小さなキスに、少しだけ慣れてきた。
唇が触れ合う音が恥ずかしいのに…わたしってばキスしてる!なんて冷静に思っている自分もいたり…
「んっ…」
身体が熱くて、キスの途中に漏れた声に「ひえ〜〜」って脳内で小さく悲鳴をあげた途端、触れ合うだけだった臣のキスが、唇をパクっとした…
ちょっと長めにわたしの唇を甘噛みする臣の指にギュっと力を込めたら、ハッとした顔でわたしから離れた。
呼吸が少しだけ乱れていて、はぁーってわたしの首筋に息を吐き出すと、そのまま顔を埋めた。
「ごめ…」
こもった臣の声が、喉元に触れてくすぐったい。
身体をくねらせるわたしに、臣は謝っておきながら、チュって首筋にキスを落としていく。