■ F
カップルシートって名の如く、わたし達のそこは小さなドームで覆ってあって、透明の屋根から空が見えるようになっていた。
ドームの中に入るから、声を出しても平気のようで、ここなら二人で内緒話もできるんだって、ちょっとワクワクした。
臣と何の話しようかな?って思っていたわたしに、ドームの中に入った臣はすぐに目を閉じてしまった。
一人で足を投げ出して寝転ぶ臣。
プラネタリウムなんて子供っぽかった?
あんまり乗り気じゃなかったみたいだし…
どよーんと雨雲をしょったまま、ドームの壁に背をもたれて一人で空を見上げるわたしに、臣の視線が飛んできた。
「つまんねぇの?」
そんな言葉。
その言葉そっくり臣に返してやりたい!
「だって臣寝てるんだもん。せっかく二人きりなのに、何も話してくれないし…」
右手を組んで頭に引いていた臣は、目を大きく広げて、それから又視線をわたしから外す。
「そんなつまんなそうな顔することないじゃん」
「………」
「やっぱりこんなドームの中で二人っきりがイヤだったの?」
「………」
「何も言ってくれなきゃ不安になる。わたしのこと好きじゃないのかも?って。本当は臣わたしなんて興味がない…―――」