■ E
あれから散々沙和たちにからかわれたわたしと臣。
でも臣がその口を割るわけもなく…実際わたし達がどこまでいった事実なんてなかった。
それを沙和に改めて聞かれたわたしは、やっぱり意識してしまうわけで…
本当はわたしのこと好きじゃないのかもしれない…
そう思うことしかできずにいる。
そう考えると、何だか複雑な気持ちになってきて…
「なんだよ?」
「えっ?」
トイレから戻ってきたわたしに、ジュースを買っておいてくれた臣の顔が近づいてきてそう聞いた。
「不満そうな顔」
スッて臣の手が頬に触れて、ドキっとする。
今まで感じた「ドキ」の最大級がキタ、気がする…
「手、繋いでもいい?」
「え」
「手繋ぐのイヤ?」
「嫌じゃねぇ」
即答する臣が可愛くて、やんわり手を差し出すと、熱い手がわたしの手を包み込んだ。
「…やべぇ」
「ん?」
「何でもねぇよ」
悪戯っ子みたいに歯を見せて笑う臣は、そのままわたしの手を引いて、人気のプラネタリウムが上映される部屋に連れて行った。