■ D
「カップルシートでいいですか?」
プラネタリウムのチケット売り場で店員さんからそう言われた。
「カップルシート?」
「はい、二人だけの空間になってるんですけど、そこなら空いています。他はもういっぱいで…」
「じゃあそこで。臣いい?」
「…あぁ」
あれ?
何か不機嫌?
臣の顔があまりいい感じに見えなくて、だからわたしは不安になってしまう。
でもそこしか空いてないなら仕方ないし…「ダメだった?」そう問いかけると眉毛を下げて気まずそうに臣が笑った。
「構わねぇよ。見てぇんだろ?」
「でも、そんなつまんなそうな顔するから…カップルシート嫌だったのかな?って思う」
ブー垂れた顔で頬を膨らませるわたしの髪にクシャっと手が触れる。
「嫌じゃねぇーって、バーカ」
ぶっきら棒な臣の笑顔に、また胸がキュンっと高鳴った。