■ B




目の前の沙和は真っ赤な目からポロっと涙を零す。

そんな沙和を見ていて、わたしまで泣きそうになってしまう。




「沙和、ごめん…ありがとう」


「聞いてユカリ…」


「うん?」


「臣ね、ずっとユカリのこと…す」


「なんの話だ、おい」





フワっと香るフレッシュな匂いにわたしは顔を上げると、汗だくで真っ赤な顔をしている臣が目に入って、すぐにわたしの隣に座った。


遅れてエリーくんがニヤついた顔で沙和の隣に座る。




「は、早くない?あたしユカリに話しあるから二人っきりにしてって言ったよね、エリー?」


「いや、悪り、何となく話の内容気になって…」




後頭部に手をまわしてサラサラのオレンジ色の髪をかくエリーくん。


全くもって悪気が見えない。


聞いてたってことだよね?


だから臣が急いできたんだ、可笑しい!!




「笑ってんなよ」




耳元で臣がそう言って、その近さにドキっと胸が高鳴った。





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