■ E
ほんの少し分かった気がする。
哲也の恋人でいながら、直人くんまでもを傍におくゆきみの気持ちが。
恋とは呼べない感情だけれど、恋じゃないともいえないこの感情。
違うのは、哲也もゆきみを好きだってこと。
もし直人くんがわたしを選んでくれるなら、臣に一切気持ちが揺るぐことはないのだろうか?
わたしのことを、あんな風に真剣にいつでも守ってくれる人を手放すのは、今のわたしにはできやしない。
これを恋というなら、恋なんだと納得しても、悪くないんじゃないかって。
結局わたしと直人くんじゃ、世界が違すぎるのかもしれない。
所詮、わたしはただのバカ女。
oneの女に成り上がるなんてこと、最初からできやしない。