■ B
臣の意見が通ればわたしはまたここに来て直人也くんに逢うことができる。
嬉しいはずなのに、心が重たくて…
「いいよ、そんなの」
そんな言葉を口にしていた。
自分でもよく分からなくて、臣じゃなきゃ嫌だって思ってる。
わたしを暴走に乗せてくれるのも、わたしを守ってくれるのも、臣じゃなきゃ嫌だって…
「なんでだよ?」
「臣が一緒じゃなきゃイヤ…」
「…お前自分が言ってること分かってる?」
そう言う臣は、自分の頬に手を当てて、わたしから顔ごと逸らした。
月明かりの下、その顔は微かに赤い。
「分かってる、と思う…」
臣がそんな顔するから、何だかわたしまで恥ずかしくなってしまって…しどろもどろ答えるわたしに、臣の渇いた笑いが重なった。
「分かってねぇぞ」
「分かってるよ」
「待て!」