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「ごめんさない。でもこうしたかったの…。怒られるのはわたしだけにしてもらうから、二人には迷惑かけないよ」


「あんたってバカ！」




急に沙和が泣きそうな顔でわたしを抱きしめた。

フワっと甘い沙和の香りがして、ちょっと心地いい。




「沙和？」


「そんなに直人さんが好きなの？臣じゃダメなの？」


「え？臣？」




まさかの臣が出てくるなんて思いもしなくて、わたしは沙和の顔を覗き込む。

唇を噛み締めて思いつめたような沙和の顔に、わたしは何といえばいいのか分からなくて…




「ごめん、臣は忘れて」




そう続いた。




「うん、分かったけど…直人くんへの気持ちは変えられないよ…」


「…分かってる。ユカリにエリーを紹介した時点で覚悟してた。でもユカリはあたしにとって唯一の友達だから…だから、突き放すようなこと言わないでよ。怒られるぐらいあたしだって一緒にするよ」


「…沙和…ありがとう」


「まぁそーいうことだ」




ポンって今度はエリーくん。

わたしの髪を優しく撫でた。




「それ、似合ってんぞ」


「ありがとう、エリーくん」




わたしが笑うと、フッて顔を逸らしたエリーくんは、「あちぃ」って言って、指でパタパタと空を仰いだ。


二人の優しさが嬉しくて、改めてこの二人が側にいてくれてよかったと思わずにはいられない。