■ D
走り始めて40分ぐらい経過した頃だろうか?
周りがざわつき始めた気がして、臣の腕がわたしを痛いくらいに腰に巻きつけたと思ったら、急に方向転換をした。
大型暴走二回目のわたしは、毎週ある小さな暴走では何もなかったから調子にのっていたのかもしれない。
「道、変える!」
そう怒鳴ってバイクを回転させた臣は、猛スピードで別の道を走り抜ける。
だいぶ遠くまで来ていた為、ここがどこなのか?倉庫から遠いのか、わたしにはさっぱり分からない。
でも、oneのみんなが方向展開している波に乗ってついて行ったから大丈夫だって思ってた。
「ユカリ、掴まれっ!」
聞こえた臣の声に、巻き付く腕に力を込めた。
次の瞬間っ…
キュイ―――ンッ!!
変な音を立てて、臣のバイクが横に流れるように停まった。
「え、なにっ!?」
そう思った途端、わたしは後ろから誰かの腕に腰を掴まれてバイクの後部座席から引きずり降ろされた。