■ E
「行きたい、わたしも」
「分かった。タカヒロさんオレ等もいいんっすか?」
「たまにはな、いいだろ、哲也?」
「あぁ」
「じゃ決まりな」
そう言ってタカヒロはニッコリ微笑んだ。
どうしてタカヒロがわたし達ごときに声をかけてくれたのかは分からないけれど、この奇跡みたいな展開に、わたしとエリーくんだけが期待に胸躍らせていたんだ。
心配そうにわたしを見つめる沙和と、いつでもわたしを守ってくれる臣の優しさに甘えていたんだって、気づくにはもう少し大人になってからだなんて…
恋をしたら、その人が全てで、その人の周りだけが輝いて見えてしまう。
そんな魔法にかかっていたのは、単なるわたしの妄想に過ぎないのかもしれない。
直人くんに話しかけられたことで、直人くんがわたしを許してくれたって思ってしまうわたしは、単純なんだと。