■ E
……ジワっと涙が溢れる。
調子にのって、直人くんの繊細な部分に触れようとしたわたしは、自分のバカさ加減に涙が溢れた。
そんなわたしに見向きもせず、直人くんは不機嫌なままわたしを置いて戻って行った。
苦しくなった胸元をギュウっと指で押さえるわたしは、そのままズルズル自販機に背中を預けて崩れ落ちる。
「…ッハ…」
嫌われたいわけじゃないの、ただ好きなだけなの…―――
今更そんな言葉、届きもしない。
あんな冷たい目で見られたわたしは、それでも女々しく直人くんを想うことしかできない、バカな女なんだ。
その日以降、直人くんはわたしって存在を一切無視し続けた。
学校でも、倉庫でも、わたしが話しかけても、聞こえていないかのように、無視し続けたんだ。
それが直人くんの気持ちなんだって、そう思うしかないなんて…。