■ B
「直人さん…」
そんなことを永遠考えていたわたしに、うちのクラス内にいるoneの男子がポンっと直人くんの肩を軽く叩いたのが見えた。
すぐにムクっと起き上がる直人くんは、ちょっと眠そうな目でその男子を見つめた。
「直人さん宛てに女がきてるんすけど、どうしますか?」
面倒くさそうな顔してるのに、直人くんはちゃんと立ち上がって、教室から出て行く。
わたしはどうしても気になって、こんなのダメだって分かっているけど、トイレに行くフリをして、直人くんから少しだけ距離を取って、ついて行った。
告白の名所、裏庭の手前にある自販機の影に隠れて二人の様子を見つめた。
「どうしても、好きなの…」
祈るようにそんな言葉を直人くんに投げたのは、一つ年上の先輩。
直人くんは、同級生は勿論、先輩からの人気も高かった。
「悪いけど、ゆきみさん以外興味ねぇ」
聞きなれたその言葉にわたしはホッとしてしまう。
直人くんへの告白を今まで何度か目にしてきたわたしは、その答え以外を聞いたことがない。
「分かってる、そんなの分かってる。でもそれでも直人くんが好きなの…。遊びでも構わない。ヤリたい時だけ呼んでくれてもいい、一番になれるなんて思ってない。でも、好きなの…」