■ I
「名前もちょっと被ってるね」
「いえっ滅相もないです」
「それ何語?」
「何語と言いますと?」
「年だってそんなに変わらないんでしょ? 敬語いらないって」
…それは、無理だろう。
わたし以外の人がみんな敬語使っているのに、このわたしだけタメ語なんかで話したら、ヤバイって。
思い描いていたゆきみは、わたしの想像を遥かに超えるフレンドリーさで、ちょっと吃驚している。
「甘やかさないで下さい」
そう言ったのは、わたしの前の臣。
口調は柔らかかったものの、ちょっとだけ威圧的な声だった。
こんな声も出すんだ、臣って。
「しっかり守ってあげてね、広臣」
「はい!」
ゆきみがそう言って臣がそれに答えたら、直人くんが消えたドアが開いて、その瞬間に青倉庫内がザワついた。
物凄いオーラを放出させて出てきたのはセカンドの哲也。
直人くんと同じ制服姿で、ゆっくりとこっちに向かって歩いてくる。
その後ろには金髪の男、総長タカヒロまでもいて、最後に直人くんが出てきた。