■ G
「な、なに?」
「お前髪…」
「えっ?」
校則なんてあるようでないけれど、長い髪を持て余すのが嫌で、いつも緩く編みこんでいるわたし。
臣の手がわたしの背中に回って、その髪をサラっと解いた。
「この方がずっといい」
そう言われて、まだ絡んでいる髪をゆっくりと手で解していく。
人前で髪を下ろすのはいつぶり?ってくらいの出来事で…
「直人さん、女連れてきたんすけど、哲也さん呼んでもらえませんか?」
整理のつかないわたしの気持ちを完全無視して臣はそう言葉を放った。
その次の瞬間その辺にいたみんなの視線が一斉にわたしに飛んできて…
「わぁ、可愛い子、広臣の彼女?」
聞こえた綺麗なソプラノに、臣は照れたように頭に手を当てた。
「そうっす」
「なんかゆきみにちょっと似てるね?」
「えっ、わたしあんなに可愛い?」
「奈々さん、似てないっすよ」
「直人には聞いてないもーん」
「…哲也さん呼んできます」