■ C
「いえ、こっちの話…。今日は宜しくお願いします」
「あぁ」
そう言って広臣くんはバイクから降りると、煙草をスニーカーで潰した。
その立ち振る舞いもすごく絵になって…
「本当に彼女いないの?」
「いねぇからお前乗せんじゃねぇの」
「そっか。勿体無いね、かっこいいのに」
「………」
黙っちゃったと思って広臣くんを見上げたら、真っ赤な顔でわたしから目を逸らした。
うそ、照れてるの?
なんか、可愛いな、この人。
「うん、うまくいきそうだな」
そんなエリーくんに、わけも分からずわたしは微笑んだんだった。
「んじゃ倉庫行こうぜ」
「広臣、ユカリのこと頼んだよ?」
まるで釘を刺すかのように、沙和が広臣くんにそう言うと、「分かってる」って一言。
無口なのに照れ屋で硬派な広臣くんのバイクに乗せてもらったわたしは、憧れの倉庫へと向かって行った。