策士の中身が知りたい3
カランとドアが開くと「いらっしゃい」低い声の後「おー哲也!」そう続いた。
後ろの私を見てほんのり目を大きく見開いて、すぐに目尻を下げて優しく微笑んだ。
「どーいう風の吹き回し?」
「こいつ、アキラ!俺の学生の頃からのダチ。こちら上杉リコさん。今日合コンで会って意気投合!うまいの出してよ?」
哲也さんのざっくりした自己紹介に思わずプッとなりつつも私はアキラさんにペコッと頭を下げた。
哲也さんがスッとカウンターの椅子をひいてくれて、そこに腰掛ける。
やっぱり動きがスマートだよなぁ。まぁこの美顔だからそうとうモテたんだろうなーって。
「哲也さん、さっきの続きだけど」
「え?」
「翔くんもだけど、哲也さんのがモテるでしょ?」
チラリとカクテルを作っているアキラさんを見ると意味ありげに軽く微笑んだ。
ほら、ダチが笑ってる。
「モテるのはこの顔だけねぇ」
まさかの言葉が飛んできて。それは分かっていたけど、自覚ありでそれを口にする哲也さんをすごいと思った。
「…あ、ひいた?ひいちゃった?やだなー」
アヒル口はわざと?それともクセ?天然アヒル口?
ジーッと見つめる私の前髪を指ですいた。
カウンターに肘をついて手で顎を支える哲也さんは真っ直ぐに私を見ている。
その視線に横から見られているドキドキが半端なくて、思わず俯くと「リコちゃん…」投げ出された私の手をキュッと握った。
「私は、哲也さんの中身ももっと知りたい…」
それが本音で。確かに顔は文句無し。だけど私が知りたいのはその顔の裏の本音。
だから握られた手をキュッと握り返したんだ。
「よかった。俺だけかと思った、運命感じたの…」
哲也さんの言葉全部に五感が反応する。
私、この人が知りたい―――
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