策士の中身が知りたい2

「青柳、気に入った?」

「…―――え?」

「あいつ、そこそこイケメンで優しくて人当たりいいからモテるわけ」

「うん、分かるかも。翔くんがモテるの。なんていうか、」


楽かもって、言おうとしたら哲也さんの繋いでいる手がキュッと強く絡まってふわりと抱きよせられた。

その横をブーンっと車が通っていく。

あ、なんだ、避けてくれたんだ。そっか、そっか。やだ私ってば。


「哲也さん、ありがとう…」

「不満。なんで青柳は、翔くんで、俺は哲也さん?」

「え?」


ムゥってアヒル口を尖らせる哲也さんは子供みたいに可愛い。

確実に女の私よりも綺麗だろうこの人。


「呼び方ですか?」

「そーよ。何か距離がない?合コンだってリコちゃんはずーっと青柳の隣だったしさぁ」

「それは!哲也さんがあの子達に捕まっちゃったから。私も隣で話したかったですよ!」

「へぇ、それほんと?」


…う。なんだろこの余裕?思わず売り言葉に買い言葉で反論しちゃったけれど、私を見てニヤリと口端を緩めた。


「哲也さんって、策士?」

「はは、そう見える?」

「見える」

「…そんなつもりはないんだけど、あ、着いた。ここ俺のダチがやってる店なんだ!」


地下へと続くお店。bar AKIRAと書いてある看板を背に哲也さんは私をその中へと連れていった。

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