「しゃっ…社長っ!!」
「煩せぇ、黙れよ、一ノ瀬…」
「だって、どうして…?」
「お前覚えてねぇの?」
社長に言われて記憶を辿ってみるものの、たぶんこれはかなりの二日酔いっていうか、酷い頭痛のせいで、頭がうまく働かない。
昨日は…―――
そうだ私、アキラと…。
「思い出した?」
クルっとこっちを向いて、私の腕を握ってそう言う社長。
しっかりと瞳を開けて私を見ている。
「…いえ、あの…」
起き上がった私は、掛け布団がハラリと落ちて、自分の格好に度肝を抜かれた!!
「キャアッ!!」
慌ててベッドに戻る私は、下着一つ身につけていなく…ついでに言うなら、隣で寝ている社長も同じような格好。
なんでこんなことっ。
ええ、思い出せない!
どうして? なんで社長とこんなことになってんの?
半パニック状態で私は自分の身体をチラっと見るものの、見事に素っ裸。
言い訳のしようがないほど頭が痛い。
「私お酒飲みましたよね?」
「ああ」
「………」
五年間の禁酒生活にピリオド。
あぁ私って…お酒飲むと記憶無くすし、人に絡むし、キス魔らしいし…加えて一人じゃ眠れないみたいだし…
だからお酒は止めたはずなのに、どうして?
どうしてか?って考えて、浮かぶのはただ一つ。
_4/33