幸せな結末8

本当に子供みたいなエリちゃん。


私はこんな子に怯えていたんだと思うと、ちょっとだけ可笑しかった。


誰でも恋をしたら盲目になってしまうもの。


けれど、自分の気持ちを見失わなければ、いつだって正直でいられるんだと、啓司が教えてくれた。


ちょっと強引なやり方だったけれど、私はもう啓司以外の人と関係は持てないだろうって…。


そういう身体にされるなんて。



「あ、エリちゃん!」


「なんですかっ!?」


「私結婚するの…社長と! アキラを宜しくね?」


「は、…」


「じゃあね〜」



別にエリちゃんに意地悪したいわけじゃないけど、これぐらい許されるんじゃないかって。


少なくとも、私からアキラを奪ったのはあの子。


きっと、アキラが悪いって分かっているけど、これは私なりのプライド。


やられっぱなしなんて、性に合わないわ!!





「おい」


「え?」



女子トイレの前の壁に背中を預けてダルそうなカレ、こんな所にいるなんてちょっと吃驚した。



「どうしました?」


「離れるなって言ったろ」


「…トイレですけど」


「分ぁーってる! けどオレに言ってから行けよ。社内だし、黒沢に会われても困る! もうオレのもんだしお前」


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