――――――…
一日余分にとった出張。
私はずっと啓司に抱き潰された。
それでも足りないと思うのは、欲張りなんだろうか?
こんなにもこの人を好きになるなんて思いもしなかった。
出張を終えて帰る家は当たり前に啓司の家で。
カレに貰った指輪を嵌めて、翌日出勤した私。
噂になっているアキラからの贈り物だと思う人がほとんどで。
その日偶然にエリちゃんと会った私に、詰め寄ってきた。
女子トイレでこんな格好、学生じゃないんだから…なんて思いながらも、私は指輪をグッと握った。
「どういうことですか?」
「何の話かしら?」
「アキラと結婚って…」
「ああ、ごめんなさい。私アキラとはもう」
「え?」
少しだけ安心したような顔で。
「他にいるから好きな人」
「な! 勝手な人ですね」
「アキラがね」
「…もういいです! アキラはあたしが幸せにします!」
「そうしてあげて」
「ふんっ」
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