幸せな結末3


「え、待って! ハワイって…」


「お前オレと結婚する気はある?」


「それは、あります…社長がいいなら」


「啓司」


「…啓司さんがいいなら」


「いいよ」


「でも、ハワイって…それに仕事は?」


「ハワイで二人きりで挙げようか」


「…あの」



いきなりすぎて頭が混乱する。



「黒沢プランには負けたくねぇ。まぁ、負ける気もしねーけど」



とんだヤキモチが返ってきて、少し緩む感情。

まさかのアキラに対抗していたと思うと、嬉しくなる。



「オレの独占欲を舐めんなよ」


「そんなこと…」


「オレ以外の男と二人っきりになるんじゃねぇぞ」


「はい」


「仕事は、続けたいなら続けて構わねぇけど、オレの秘書以外はやらせない」


「うん」


「じゃいつ結婚する?」


「もう!」


「気、短けーの。これでも十分待った」




聞きなれないその言葉に、私は一瞬だけ身体が固まった。


そもそもどうしてこの人は私を選んだんだろうか?


確かにあの日、アキラの浮気が発覚して、一人でヤケ酒を浴びていたけれど、偶然居合わせたカレはあの日私を好きになったなんてこと、有り得ない。



「社…啓司さん…」


「ん?」


「いつから私を?」


「あぁ、言ってねぇか?」


「何も聞いてません」


「そうだっけ? あ、着いた。中で話す、行くぞ」



ホテルの裏口に止まったタクシーから降りると、しっかりと私の手を引いて、中に入っていく。


_27/33