「いー感じ」
耳元でそう囁くカレは、そのまま私の耳を口に含んだ。
わ!!
音がボワっとして、こもった音は、カレの舌が私の耳を舐める音。
動きたいのに、狭いタクシーの中で暴れるわけにもいかず、かといって、このまま好き放題されるのもシャクに触る。
「やめっ…」
辛うじてそう言った言葉に、スッと舌を離す啓司さん。
「え…?」
「やめて欲しいんだろ?」
意地悪な質問を飛ばす。
それは、そうだけど…
そんな言い方…
「ズルイ人」
「褒め言葉か?」
「違いますよ」
「素直に言えよ」
「なにを?」
「続けて欲しいって」
そう言って、自分の真っ赤な唇を一度舌でペロっと舐めた。
その仕草に強烈な色気を感じて、危うくカレの首に腕を回してキスを迫ろうとする自分を抑えた。
「我慢してるって顔に書いてあんぞ?」
余裕たっぷりにそう言うカレが憎くてたまらないのに、こんなにも愛おしいなんて。
「ユヅキ…」
「うん?」
「結婚式、ハワイにしねぇ?」
一気に話が飛んだ!!
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