幸せな結末2
「いー感じ」


耳元でそう囁くカレは、そのまま私の耳を口に含んだ。

わ!!

音がボワっとして、こもった音は、カレの舌が私の耳を舐める音。

動きたいのに、狭いタクシーの中で暴れるわけにもいかず、かといって、このまま好き放題されるのもシャクに触る。


「やめっ…」


辛うじてそう言った言葉に、スッと舌を離す啓司さん。


「え…?」

「やめて欲しいんだろ?」


意地悪な質問を飛ばす。

それは、そうだけど…

そんな言い方…


「ズルイ人」

「褒め言葉か?」

「違いますよ」

「素直に言えよ」

「なにを?」

「続けて欲しいって」


そう言って、自分の真っ赤な唇を一度舌でペロっと舐めた。

その仕草に強烈な色気を感じて、危うくカレの首に腕を回してキスを迫ろうとする自分を抑えた。


「我慢してるって顔に書いてあんぞ?」


余裕たっぷりにそう言うカレが憎くてたまらないのに、こんなにも愛おしいなんて。


「ユヅキ…」

「うん?」

「結婚式、ハワイにしねぇ?」


一気に話が飛んだ!!
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