「信じてないことないし、あんなの噂って分かってる。…けど、いきなり社長秘書になって、何か接点あったのかな? とか思って…」
「分かってる、ごめんねアキラのことちゃんと信じてるから。そこは本当に私も分からないの。社長と寝たこともなければ、媚を売った覚えもつもりもないんだよ」
「そっか」
「そうだよ」
「ごめん勝手に…ただのヤキモチ」
「えっ?アキラが妬いたの?」
「オレだって妬くよ」
「ふふふ、嬉しいなぁ」
「ユヅキ…」
近付くアキラに、私はそおっと目を閉じた。
久しぶりのアキラのキスに、胸がキュンとする。
優しいのに、情熱的なその舌使いに、甘い吐息が漏れる…
「ユヅキ…イイ?」
熱っぽく瞳を潤ませて私にそう聞くアキラに、私は小さく頷いた。
若い頃は、社内でこっそりこういうことをシたこともあった。
でもそれは昔の話で、さすがに25歳を過ぎてからはそんな無謀なこともしないようになった。
スリルよりも、安心感を求めるようになったから。
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