余裕の笑顔でトイレを出た瞬間、アキラが私の腕を掴んだ。
目指すのは誰も使っていないであろう、会議室。
こんな秘書課のフロアにアキラがいるなんて有り得ないことで…
「どうしたの?」
会議室に入った私を抱きしめるアキラにそう聞いた。
「お前嫌がらせされてねぇか?」
「あ、心配してくれてんだ?」
「当たり前だろっ」
「ふふふ、ありがとう。でも全然大丈夫よ」
昔からアキラは心配性で、いつも私のことを気にかけていてくれた。
そういう優しいところ大好きで。
私はアキラにされるがまま抱きしめられていた。
「ユヅキ、聞きたいことあるんだけど…」
「なに?」
「社長と…」
「まさかアキラまであの噂信じているの?」
やめてよ、って付け出すと私はアキラから離れて軽く睨んだ。
慌ててアキラは手を左右に振って「ちがう、ごめん」って言って。
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