TOKYO4



そんなわけで、5人でお昼ご飯を食べて私の宿探しにとりかかった。

直ちゃんがある程度おさえてくれていた物件を回っているうちに辺りはいつの間にか真っ暗だった。



「あと一つ、全くオススメできないんだけど、どうしても連れてこいってのがあって…一応行く?」



何だか煮えきらない直ちゃんは少しだけ苦い顔をしていて。



「え?なに?連れてこい?オススメできない?なに、それ?行く!」

「やっぱりか。ゆきみさんノリいいよね、ほんと!」



眉毛を下げてほんの少し困った様に微笑んだ直ちゃんは、私を大きなログハウスのような場所に連れていったんだ。



「…やっぱ帰ろ!」



そう言って直ちゃんがくるりと向きを変えた瞬間、あっち側からガチャリとドアが開いた。

見えたのは金髪とピンクの頭…え、なにここ、不良の溜まり場!?



「直人やん!あ、もしかしてルームシェアの方?歓迎します!俺しょーた、安田章大いうねん、よろしくー!」



金髪に手を握られて一歩後ずさる。

その後ろ、ピンクのキノコ頭の、、外人?ハーフ?



「ELLYです。可愛いね、女の子来てくれてすげぇ嬉しい!」



ペコッと頭を下げるエリーは、外人だからこその?紳士的な態度に見えた。

ほんの一瞬だけど。



「新しい子!俺も見たい!どれどれ、どの子?」



パーって甘い香りがして目の前に子犬?

ニコッと微笑まれて手が伸びてきた。



「岩田剛典です!大歓迎します!」



なにこの爽やかさ。

なんかもう、よく分かんない。



「直ちゃん!なにごとっ!?」



岩田くんの手からすり抜けて直ちゃんの後ろにガッツリ隠れた。

背中に顔をピタッとくっつけてそのまま後ろから腰に腕を回す。

ええいもう、抱きついちゃえ!



「わわ、ゆきみさん!大丈夫だから…ごめんねここ、シェアハウスなの。元々4人住める所を3人で使ってて、だから4人目を探していたっていうんだけど、さすがにここはマズイよね。村上さんにも怒られるよね?」

「なんかよく分かんないけど、」

「絶対ダメだよ、こんな野蛮なとこ!断固認めない!」



そんな私達の前で仁王立ちをしている美月。

その後で登坂くんが「自分の女だったら絶対嫌でしょ、これ…」ボソリと呟いた。



「まぁでも一人よりかは楽しいんちゃう?どうや、ゆきみさん、ここに住まへん?」



軽いなー丸は。



「アホ抜かせ、こんなとこに住ませるくらいなら俺が一緒に住むわ、たく。おう遅れたな、悪い」

「え、きみくん!いつからいたの?」

「今来たんや。こんばんは、横山です。こいつがお世話かけてます!」



ポカッと頭を軽く叩かれてきみくんに体ごと持っていかれる。



「飯行こうや、腹減って倒れそうやねん。丸、なんか店あるー?」

「ありますよ、ええ店!な、直ちゃん?」

「お前、知らんのやったら適当言うな。すんませんね、こいつがお世話かけて。とりあえず適当に店入るか。あー美月、お前もこい!」



きみくんの登場に固まっていた美月が困ったように目を逸らす。

だからだろうか…



「俺ら用事あるんでここで失礼します。ゆきみさん、大丈夫?」



モロ感情を顔に出してる登坂くんは、完全に美月を後ろに隠していて。

なんならきみくんのことちょっと睨んでるし。

まぁ若いっちゃ若いけど、ある意味そうやって全身で守って貰えるのって羨ましいよね。

信ちゃんなんて私が困っていても守ってなんてくれないだろうし。



「臣くん、でも、ゆきみさんうちに」

「教えろや、家。後で俺が連れてく」

「教えません。行くぞ美月!」

「臣くん、待ってよ!ゆきみさん、連絡します!」



強引に登坂くんに連れていかれちゃった美月。

やっぱりきみくんと会わせるのはよくなかったよね。



「あーもう、怒らせちゃったじゃん、登坂くん。きみくんてば…」

「あんくらいで怒るんおかしいやろ。しゃあないやん、俺らがそうやったんは事実やし。つーかお前、美月に新しい男おるなら言えや。最初吃驚したわ!」

「あれ?信ちゃんから聞いてない?だってあの2人付き合ったばっかだもん!私だってついこの前聞いたばっかりだし!」

「ふぅん、まぁええけど。えーっと、名前聞いてもええ?」



きみくんが直ちゃんを見てそう聞く。



「あ、すいません。片岡です、片岡直人です」

「あ、もしかして土田んとこ?」

「哲也さんですよね?そうです、自分土田班のメンバーです」

「おお、そやったん!俺ら同期やねん、土田!まぁそんな知らんけど。な?」



私を見て首を傾げるきみくんに、プリンス土田を思い浮かべる。



「確か物凄いイケメンだった」

「俺んがイケメンや!」

「それは間違ってるきみくん!それは私許せないきみくん!」

「お前目おかしいもんな、村上と付き合うてる時点で」

「いや私、顔で選んでないし!」

「はいはい、とにかく飯食わせて、片岡くん」

「はは、直人でいいっすよ、横山さん!」

「ほな、直人、ええ店知っとる?」

「もちろんっす!ヤス達も行く?」



直ちゃんがシェアハウスの住民に声をかけるとみんな揃って出てきた。


東京の夜は、なかなか面白いかもしれない。





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