寂しい人2
「あ、直ちゃんおはよ!」
「おはよじゃないよ。ここ俺ん家!朝から何してんだよ、2人で…」
眉毛を下げて私を見つめる直ちゃん。
「何もしてないよ。ちょっと遊んでただけ。マルちゃんペットだから本気で手なんて出さない…」
「ゆきみちゃん、寂しいの?」
「え?」
「寂しいの分かるけど、安売りすんなって、」
本気で心配してくれているって分かる。
直ちゃんはノリはいいけど根はすごく真面目だって。
仕事に対してだって人に接する態度だってすごく真面目だもの。
そんなの見てれば分かる。
でも…―――――
「何が分かるの?」
「え…」
「ゆきみさん、もうええよ。ええねん、こっちきて」
マルが私を後ろから抱き寄せる。
ぎゅうーって。
カッとなっていた心が少しだけ落ち着いた。
鎮火しかけた火がマルの体温で消えた。
信ちゃんのいない寂しさを他の男で紛らわそうとしているのは、私自身が一番よく分かっている。
美月の言う遠距離が、こんなにも苦しいものだと知ったのは私で。
あんな男でも、私は信ちゃんを愛しているんだって。
「直ちゃんごめんやで、ゆきみさんのことは俺に任せてな」
「…うん。ごめんゆきみちゃん…」
直ちゃんの言葉に小さく首を振った。
最低なのは私だ。
信ちゃん、今すぐ逢いに来てよ。