▼ 雷翔のやり方3



「どないなってんねん、ほんまに…」

「健ちゃん、助けて!直ちゃんもてっちゃんも怒りすぎじゃない?どうして敵対なんてしてるの?私達…」

「俺1人が逆らってもなんも変わらへんよ、樹里亜。分かるやろ、あの2人の強さ半端ないねんで?隆二もコブラも一発であかんかったやん、見たやろお前かて。はぁーほんまにエライ奴に惚れやがってー」



煙草を吸いながら寝転がった健ちゃんをまだ警戒している広臣。



「健ちゃんは私の護衛で、いつも守ってくれてたの…」

「…知ってる。全部調べてだいたい分かった」



広臣の指がさっきからずっと私の身体の一部に触れているのが心地良い。

肩に回した腕は、そのまま私の髪を撫でていて、コロっと広臣に頭をもたげた。

フッて鼻で笑う広臣を下から見つめ上げると「可愛い」小さく呟いた。



「イチャイチャすんなやー俺おるのに」



健ちゃんの煙草の煙を広臣が手で払う。

二人の間にあった壁が崩れたように思えた。



「樹里亜…俺いったんチームに戻っても大丈夫?正直俺もアイツらがどうなってるのか分かってねぇから確認しておかなきゃとは思ってる」

「…はい。すぐ戻るよね?」

「うん戻るよ。寂しい?」

「寂しい。離れたくない、広臣と」

「…やべ。色んなところ痒い、樹里亜のせいで」

「私?」

「そーいう天然なとこ、すげぇ可愛いけど、他の男の前でやってほしくねぇな」



広臣がトサッとその場に私を押し倒す。

前髪が目にかかってその隙間から見上げる広臣の顔は色っぽい。

途端に心臓がドクンと大きく音を立てた。

こんな風に普通の恋人同士みたいなこと、どうして私達には許されないのだろうか。

ただ好きなだけなのに。



「広臣…好き…」

「俺も好き。目閉じて…」



目を閉じる私に広臣のキスが落ちる。

ギュッと広臣の背中に腕を回して抱きしめる。

幸せな一時は一瞬で終わる…




「あほ、イチャイチャすんな、言うてるやろ!たく」

「いってぇ、なんだよ、健二郎」

「お前に呼び捨てにされる筋合いないわ」

「いーじゃねぇか、別に。なに?ヤキモチ?」

「アホ、ちゃうわ。見てみ、あれ…」



健ちゃんの指さす先、広臣のチームの幹部と見られる隆二とコブラが、女2人を連れて行くのが見えた。



「…どうする?つける?」



健ちゃんの声に広臣が「ああ」私には見せない雷翔幹部の顔で答えたんだ。


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