▼ 闘い前の一時2
オミさんとキスをしているだけで、世界に二人きりになった気分だ。
こんなにも私を魅了するオミさん。
「樹里亜…」
「はい」
私を至近距離で見下ろすオミさんの頬に手を添える。
無意識だけど、オミさんに触れていたい私の気持ちで勝手に動いているんだって。
ほんのり目を細めて私の頬を撫で返すオミさんは、ゆっくりと顔を横に向けて私の耳を口に含んだ。
ニュルリと舌を入れ込むと今まで感じたことのない快感が身体を突き抜ける。
「ハアッ…」
思わず盛れた吐息に自分でもドキドキしている。
「耳気持ちい?」
そんな質問をされて「んっ…分かんないっ」涙目で答える。
これが気持ちいいってことなのか、全てが初めての私には分からなくて。
だけど私を見下ろすオミさんの顔は高揚していて嬉しそう…
「ん。嬉しい…」
私の言葉に目を細めたオミさんは一度目を逸らしてからもう一度強く私を抱きしめる。
「どうしたらお前の兄貴に認めて貰えるんだろ、俺…」
「オミさん…」
「本気で欲しいんだ、樹里亜のこと。だから馬鹿な頭使って真剣に考えた。けどわっかんねぇ、何がいいのか…」
「オミさん、兄貴達は常識通じないと思う」
そう言う私をキョトンと見つめた次の瞬間、ブハっと吹き出した。
え、なんで?
笑い要素あった?
「それsevenの妹が言う言葉じゃねぇな…」
「私は兄貴とは違うもの!笑わないで…」
「分かってるよ。ごめんな?」
チュって触れるだけの小さなキスを落とす。
言いたいことはたくさんあるし、話さなきゃいけないこともきっと沢山ある。
でも今は何も考えたくないよ。
「オミさん…」
「広臣でいいよ…そう呼んで?」
「うん。広臣…」
腕を伸ばすとそれを掴まれてそのまま首の後ろに回された。
ゆっくりと私の上に体重を乗せる広臣。
くすぐったいキスを首筋にたくさんされて…
「このまま抱くよ?怖くねぇ?」
「怖くないよ」
16歳の秋…。
私は広臣の腕の中で、大人への階段を一段あがった―――
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