▼ 狂気な強さ2



授業開始の数分前、まだ登校してくる生徒が沢山いる中、その爆音は眠くて虚ろだった私をすぐ様呼び起こした。

校庭に響く爆音で窓の外を見ると、黒字にデカデカと描かれた雷の絵と雷翔って文字。

黒い特攻服を着た族がそこでバイクを唸らせている。



「なにごと…」



そう思っていると、バイクを脱ぎ捨てて校舎内に入ってきた。



「樹里亜、ロッカーん中隠れろ」



無理やり健ちゃんに腕捕まれてロッカーに押し込まれた。

こっちから開けることができなくて「健ちゃんなんで?開けてよっ!」ドンドン叫んだらドカッと一発思いっきり蹴り飛ばされて「黙っとけ、一言でも発したら守りきれへんぞ」……よく分からなかった。

ほんの隙間から見える健ちゃんは完全に戦闘態勢に入って見えて。

兄貴達はどこにいるの?

何、してんのよ?

苦しくてあがる呼吸を必死で抑えて静かにしていた。

ガラリと教室のドアがあいて誰かが入ってくる。



「あ、ここだ。土田樹里亜どこだ?」



聞こえたのはたぶん、ショッピングモールでオミさんを呼んだ人。

確かアッシュ髭の隆二。



「おらへんわ」



健ちゃんが答えるけど、隆二今私を呼んだ?

な、なんで?



「臣どこに隠した?知ってんだろ?臣と樹里亜のこと…」

「なんのことや?帰れや、お前らの来るとこちゃう」



オミさん、いないの?

え、どーいうこと?

出して、ここから!

ガンガン足でロッカーを蹴るとチッて健ちゃんの舌打ちが聞こえた。



「こーんな臭いとこ閉じ込められちゃって、可哀想に」



ニッコリ笑顔の隆二が扉を開けた。

全く目が笑ってない乾いた笑顔にほんのり震える。



「見つけた、土田樹里亜ちゃん。ちょーっと俺らと一緒に来てね?」



腕を捕まれて隆二に連れて行かれる。




「おい、止まれ。その手離せや。樹里亜は俺らんもんや。どーしてもっちゅーなら、俺を倒してから行けや!」




ダンって健ちゃんが壁を横から殴った。



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