行方知らずな気持ち2


【side ゆき乃】



頭ん中真っ白。

どうやってここに帰ってきたのかすら覚えてない。



「ゆき乃、どうした?なんで泣いてんだよ?」



哀しそうな直人の顔がボヤけて見える。

すぐにクリアになるけどまたすぐにボヤけて見える、なにこれ。

ベッドの上でふわりと直人に抱きしめられてドクンと心臓が動いた。


なにがあった!?

こっちが聞きたい。

良平くんとわたし…



「直人…お願いがあるの」



わたしの髪を愛おしそうに撫でている直人は、わたしことを愛してくれている。

その心に応えられないのはそう、良平くんって好きな人がいるからで。



「お願い?言ってみろ」

「キスして」

「…―――え。キス…」

「して」

「いやいや待てって。隆二や健二郎と俺も一緒ってこと?そこの立ち位置にしてんの?」



困惑した直人の顔と声と表情にわたしは眉間にシワを寄せた。

あんな記憶消し去りたいって思いと、確かめたいって気持ちが入混ざっていて。

何とかわたしを離そうとする直人を無理やりベッドに押し倒した。

そのまま迷うことなく直人に馬乗りして困惑した頬に手を添えてキスを迫った。



「ンッ、やめろ…」



抵抗しようとする直人に全体重のっけて無理やりキスをした。

唇が擦れても、真一文字に結んだ口を開こうとしない直人に無理くり舌を入れ込む。

まるで男女逆転。

冷静に考えたら完全におかしい。

でも冷静さなんて1ミリも残っていないわたしは、尚もキスを続けた。

諦めたのか直人の身体の力が抜けて、「好きにしろよ」って言葉。

そのままわたしの腰に腕を軽くかけて背中を優しく撫でられた。


さっき良平くんとしたようにゆっくりと舌を絡ませ合う。

抱きしめられてキスされてすごくすごく幸せな気持ちになって。

いつの間にか、わたしの上に乗ってる直人。

ゆっくりと服の中に手を入れてきてわたしに愛撫を繰り返す。

下着を剥ぎ取られてそこに指を突っ込まれる。



「アンッ…」



心地好くて直人にギュッと抱きついた。

それから耳元で小さく囁いたんだ。



「直人も早く脱いで」



ポンッてわたしの頭を一撫ですると、直人はおもむろに着ていた服を脱いだ。

物凄い主張しているそこに手を添えると「ハァッ」て甘い吐息を漏らす。

見事に割れたシックスパックに見とれながらも、直人がボクサーパンツを脱いだのを見て息が詰まる。

そのままそこを掴んでわたしの中に入れ込もうとして「やめてっ!」直人の腕を抑えた。



[ - 73 - ]
prev / next
[▲TOP