マーキング3


「なんだその格好…」



そんなあたしを見た岩田が怪訝な顔で見ていて。

隣のえみ先輩がニッコリ微笑むととんでもないことを言い放った。



「やっぱヤってた?あの二人!」

「ええ。先輩知ってたんですかぁ?」

「知らないけど、そうかな?って。でも今に始まったことじゃないから、美月ちゃんにも覚えて貰おうと思って!」



覚えて!って衝撃的過ぎて忘れられないっすよ。

あたしの脳内、隆二とゆき乃先輩で…



「鼻血でそうです…」

「可愛いね、美月ちゃん。ね?剛典くん」



えみ先輩があえてなのか岩田に同意を求めるように話をふったのは分かった。

でもだからって…



「全然。俺タイプじゃねぇよ、こんなガキ」



カチン。

確かにえみ先輩に比べたらあたしなんてクソガキかもしんないけど、岩田に言われたくないよ、バーカ。

って意味も込めてあたしはえみ先輩を後ろから抱きしめて首筋にチュッチュしている岩田を睨みつけた。



「あら哲也くんに失礼!」



岩田のキスをうけながらえみ先輩が軽くそう言うから、思わず出たテツの名前に怒りが一気に消えうせた。



「オッサンの趣味は理解できない」

「ちょっと!あたしのこと言うのは構わないけど、テツのことは悪く言わないでよ!いくら岩田だって許さない!」



そこまで啖呵きってからハッとした。

一度だってテツのことをこうして誰かと話したことなんてなくて。

誰かにテツのことを悪く言われたらあたしは黙ってられないんだって、そう分かると胸がギュっとした。

やっぱり今夜はテツに逢いたい。

どんなテツでもあたし、大好きだよ。




「あー哲也くんがオジサンなら私とゆき乃もオバサンよ?剛典くんボケツだなぁ〜」



コツってえみ先輩が岩田の頬を指で突く。

先輩、もっとぶん殴ってくれませんかっ!?

なんて内心思いながらも「バーカ」って口パクすると苦笑いで目を逸らした。



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